四日市大学環境情報学部



後藤朱実さんのカンボジア訪問記(その4)


環境情報学部4年次生(社会人学生)の後藤朱実さんが卒業研究のためにカンボジアを訪問しました。その報告の第4回目です。
 
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シェムリ・アップを後にして、信号一つない国道6号線から5号線を東南方面へ約270㎞走ると、カンボジア最大のコメどころであるバッタンバン州がある。その町中から35㎞南西方面に、コンピン・プイという貯水ダムがある。これはクメール・ルージュ時代に強制労働によって作られた農業の灌漑用の貯水ダムである。コメ増産政策を掲げたクメール・ルージュは、国内に数多くの灌漑用水路を作ったが、使い物にならない数多くの中で、今も利用価値の高い数少ない中のひとつである。日本のJICAによって修復されている。
 
このバッタンバンの地域は稲作に適した土壌で、古くから稲作が盛んだったようだ。コメ作りにおいて不可欠なのは何よりも水である。水の確保が出来れば、二期作、さらに三期作も可能になる。乾季時は水が確保できるコンピン・プイ周辺は稲作の風景がみられたが、雨季時はどのようなものか。その様子を見たかった。
 
また、このダム湖を小舟で周遊してくれた逞しいおばちゃんと子どもたちにも会いたかった。そして前回撮った写真を渡したかった。このコンピン・プイでは、湖岸沿いに茶店が並び、週末になると地元の人たちの憩いの場所となっている。この日は週末ではなかったが、たくさんの人たちで賑わっていた。
 
着くと直ぐ茶店への誘いの人がやってきた。すかさず写真を見せたら、あのおばちゃんを呼んでくれた。写真を見たときのおばちゃんの嬉しそうな顔がなんともいえない。ことばは分からなくても、「ありがとう」と何度も言ってるのがわかった。集まる人たちに、その写真を嬉しそうに見せていた。
 
貯水湖は一見すると、前回よりも水量が少ないと感じた。それでおばちゃんの運転するボートに乗った時、ドライバーがそのことを聞いてくれた。それによると、増水して水位が高くなったためダムから放流を繰り返してるということだった。それによって、この近郊の地域の水田に水がたっぷり行き渡ってるわけだ。
 
ダム湖を周遊するボートといっても、手漕ぎのボートに小さいエンジンがつけただけの数人乗りの小さいボートである。前回もそうだったが、今回も乗る前からボートの中は水がいっぱい溜まっていて、乗るや否や、ドライバーが水をかき出し始めたのが何ともおかしかった。
 
地元の小学生の子どもたちが三人飛び乗ってきた。見覚えのある子が一人いた。ポーズする子どもたちにカメラを向けていると、やがてボートが淡いピンクの花咲くハスの群生地にさしかかった。するとおばちゃんはエンジンを止め、ゆっくり進んだ。子どもたちはいっせいに慣れた手つきでハスの花をとり、実をとって食べさせてくれた。意外にもおいしいかった。
 
三人の子たちはそれぞれに、写真を撮って撮ってと言わんばかりにせがみ、そしてポーズをとる。どうみても着の身着のまま、おそらくゲーム機など手にしたことはないであろうそんな子どもたち。しかし、何もなくてもどんなところでも、子どもは遊ぶことを知っている。何もない中から身体を使って遊んでいくその姿に、胸の中が熱くなった。率直にすごいと思った。やっぱりたくましさを感じた。
 


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