オーストラリア語学/環境研修報告 その3

オーストラリア語学/環境研修の一行がクイーンズランド大学での研修の2日目を迎えました。1日目は長旅の疲れで、大変だったようです。2日目はどうだったのでしょうか。引率している井岡教授の報告です。
 
日にちが経つのは早いもので、もう研修2日目に突入しました。セントレアを発ってから、早、3日目になります。
 
7時45分にこのプログラムの本拠地であるビルの2階に集合です。今日からは自力で、バスを乗り継いで、ホームステイの家からUQまで来なくてはなりません。案の定、定刻に間に合ったのは6名でした。そのあと、徐々に到着して、8時ぐらいには全員揃いました。思ったより優秀。中には、ホームステイのペアレントに送ってもらった人もいましたが。
 
午前は、バスで1時間半ほど揺られて、Gelita Australia 訪問です。この会社は、ゼラチンを製造している会社です。ゼラチンは、食品(ゼリー状のもの、グミなど)、工業用には建築素材やフィルム、印画紙などにも使用されている。さら医薬品や化粧品にも使用されています。
 
原材料が、牛の頭皮ですので、実際の現場は、かなりショッキングな風景が多いです。通訳の大瀧さんも、工場を見学したあとは、グミが食べられなかったと言っていました。Gelitaでは、原材料からゼラチンになる部分を取った残りの部分を、そのまま廃棄するのではなく、肥料として生産し、また、バイオディーゼルの燃料として取り出すことや、ボイラーの燃料として、石炭を使用しているが、その燃えカスを道路の舗装材料としたりして、基本的には廃棄物として出さない努力をしている。これが、Cleaner Production Programの学習内容として選ばれた理由だと思われます。また、生産過程で使用される工業用水は、地下水、川からの取水でまかなっており、工業用水を市から得ているわけではない。使用した排水は、処理され、かんがい用水として使用されている。敷地外にゴミを出さないことが売りである。
 

施設管理のマネージャからの説明


工場のサイモンさんから、最初に取り出された液状のゼラチンを紹介された。


 
牛の頭皮が原材料なので、工場自体は、悪臭が漂っており、また、搬入口には取り残された頭皮が落ちていたりしている。また、塩漬けされた頭皮の山が倉庫に積まれている風景も見せてもらった。写真に収めたが、少しグロテスクなので、表示は割愛する。
 

発酵処理が終わった牛の頭皮を原材料とする肥料。農家に納入され、イーウィフルーツ、マカダミアンナッツ、じゃがいもなどを育てる肥料として使用される。


排水の処理場


 
日本では、とても、このような工場があるとは思えないが、我々が使用している、コラーゲン、お菓子、化粧品など、あまり意識していないが、よく見るとゼラチンが使われている製品が、我々の身の回りに普通にあることが分かる。このような過程を経ての製品だと思うと、考えさせらるものがある。Cleaner Production の趣旨とは少し違うが、参加した学生は、かなりショックを受けた様子であった。
 
Gelita社で、モーニングティーを頂いたので、そのシーンだけ紹介しておく。オーストラリアはイギリスからの植民で発展してきた国であるので、英国風の習慣が色濃く残っている。午前のティー、午後のティーもその例である。幼稚園などでもその習慣が踏襲され、親は、お弁当の他に、ティー用のお菓子を持たせるそうである。
  

屋外でのモーニングティ-


 
午後は、Bob Hampson さんの講義であった。「Protected Area Management in Australia」という題で、オーストラリアにおける保護区域管理のことについて紹介してくださった。保護区域に指定された土地は、日本で言うところの国立公園として扱われ、政府、地方自治体が自然のままに保持することが定められている。自然のままの状態で、その地域の環境を含めた動植物を次世代に残すことを目的としている。一切の土地利用が禁止されている。10000の管理区域が有り、全体で13700万haの広さがある。人間、および人間社会は基本的に環境を破壊する存在であるが、人間社会を取り巻く区域の自然が保護されていることは、人間社会が持続可能であるために必要であると発想から、生まれている。
 
山火事も生態系には重要な役割を持っているという発想は興味深いものである。自然の営みとして10年に1回ぐらいの頻度で、山火事は起こり、それが、結果的には、森林の生態系を維持してきたという話である。それが、オーストラリア人の移住によって、山火事が少なくなり、また、一回おこると、その規模が大きくなっている。
 

Bobさんのお話

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