ドローンを用いた地域問題の共同研究

環境情報学部の教員有志は、総合地球環境学研究所の上級研究員である渡辺一生氏(環境情報学部1期生)とドローンを活用した地域研究を開始します。研究対象は、①いなべ市等の中山間部で深刻な問題となっている獣害(シカやイノシシによる農作物や林地の食害)問題、②農作物の生育状態、③里山で勢力を拡大する竹林の調査などです。
 
2月25日に大安町の農業生産法人陽光ビオファーム(代表、丸山康子氏)を訪問し、法人の所有する農地の調査について打ち合わせました。陽光ビオファームは環境情報学部10期生の宮本竜太氏が生産部門の責任者です。その後、農地でドローンを飛ばして、調査の方法を確認しました。作物の生育状態はドローンで撮影する近赤外線画像等から判定します。本格的な調査は4月以降に始まります。
 

調査予定農地(ネギを定植予定)でのデモフライト


渡辺氏(左)と宮本氏(右)


 
その後、いなべ市北部に移動し、獣害調査を行う地域の3次元マッピングをドローンを用いて行いました。渡辺氏がドローンの飛行経路と撮影地点(等間隔のメッシュ点)を事前にプログラムし、離陸と着陸についてはマニュアルで操作しましたが、後は全自動でドローンが撮影地点まで移動し、地上を撮影し、帰ってきました。昼間の調査であれば、専門のパイロットはほとんど不要なところまでシステムは進化しています。
 
3次元マッピングとは、撮影画像から地上面の立体モデルを作成する作業です。害獣の発見地点や移動経路などを立体モデルに落とすことで、害獣対策の詳細な検討や地域の方々への分かり易い説明が可能になります。
 

撮影点(ドローンの飛行経路と停止位置)をタブレット上で設定中。画面にタッチしながら簡単に入力できる。


3次元マッピングのためのフライトを行う渡辺氏


 
そして、2月25日の深夜に日本でも例の少ないドローンの夜間飛行による害獣調査を実施しました。ドローンに搭載した熱赤外線カメラを用いて約1時間の調査を行いましたが、のべで10匹以上のシカを発見しました。興味深いのは、熱赤外線画像で獣道(けものみち)が明瞭に捉えられた点です。獣道は草丈が低かったり、土が露出していたりするので、周囲と温度差があることがその原因です。可視光では区別しにくい獣道を熱赤外線で見つけられることは獣害対策に役立つ情報です。
 
そして、この獣道に沿って歩くシカの群れを見つけることができました。可視光ではないので、シカと断定はできませんが、細長い身体からシカであることは間違いないと判断しました。
 

離陸直後のドローン(渡辺一生氏撮影)


熱赤外線画像の例(中央の白い点がシカ)(長谷川博久氏撮影)

 
   
今回の調査で、シカの移動経路、シカの摂餌場所、一定面積内のシカの頭数などが判明し、今後の獣害対策(ワナや檻の設置位置、自動車道路を横切る場所への警告標識の設置など)に活用できると考えられます。このような調査を今後も継続する計画です。なお、この夜間調査はNHKの取材を受けました。
 
撮影した熱赤外線映像

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