平成24年5月20日(土)に四日市大学自然環境教育研究会は第4回目となる鈴鹿山脈ブナ林毎木調査を実施しました。これに環境情報学部の教員2名(井岡、千葉)も加わりました。当日は曇り気味で、約1000mと標高の高いブナ林では霧も出ましたが、慣れた研究会の皆様とともに約100本のブナの正確な位置(GPS計測)、胸高直径、樹高などを測定しました。
参加した研究会の皆様は16名でご年配の方々中心ですが、ブナ林までの登山、急斜面での測定など、慣れた様子で着実にこなしておられました。
このブナ林には約3000本のブナが生えていることが研究会のこれまでの調査で明らかになっています。この木々を全て再調査して、データベース化するのが研究の狙いです。ブナは山頂付近の複雑な地形の中で、環境に適合して様々な形態で生えています。まっすぐに伸びた木々もあれば、北西風に耐えながら低い樹高で生えているものもあります。写真は山頂付近のブナの大木です。急斜面から生えて空に向かって伸びる様子は「ど根性ブナ」とも言えるでしょう。樹高は20mくらいです。
鈴鹿山脈ブナ林調査の記事にも書かれているように、温暖化の影響が心配されます。今回の調査では8地点に気温・湿度の自動観測装置を設置しました。これにより、ブナ林内の詳しい温度変化が把握できるようになります。
また、ブナ林の笹枯れが相当進んでいました。標高の低い位置(約750m~900m)まではほとんど笹がなくなっており、頂上付近(標高1000m前後)でも笹は減少していました。
今回の調査では、笹のなくなった地面に無数のブナが芽吹き、確実に更新が行われつつあることを確認できました。可愛いブナの2枚葉があちこちに顔を出していました。
この笹枯れの原因を調べることも調査の目的のひとつで、そのために一部の笹にネットをかけ、シカの食害を防ぐようにしました。これでシカ原因説を明らかにできるはずです。
この調査では、ブナ林に出現する動物を確認することも目指しています。林内の2箇所に赤外線で動作するカメラを設置し調査を続けています。写真はぬた場に設置されたカメラです。ぬた場には動物の足跡が多数残っていました。