平成25年2月20日と21日に、環境情報学部生11名、総合政策学部生1名、そして四日市大学エネルギー環境教育研究会メンバー2名と新田義孝教授が電力関係施設を見学しました。
最初に松ヶ枝変電所と基幹給電制御所を訪問しました。松ヶ枝変電所は大規模な発電所から送られてくる27.5万ボルトの電気を15.4万ボルトに下げる役割をもつ変電所で、それらを含めて電力系統の主要部分を制御しているのが基幹給電制御所です。いずれも名古屋市中区千代田の中部電力名古屋支店のビルに併設されていて、中部電力が電気を送る司令塔の役割をしています。周波数や電圧を安定させる、電力需要に合わせて発電するなど、言葉で表すと簡単なようですが、ハイテクを駆使して中部地方の電気を高い品質に保つ役割を担っていました。
次に浜岡原子力発電所を訪問しました。同発電所は昨年5月に政府から停止要請を受け、その後は津波と地震対策を大規模に推進しています。加速度1000ガル、振幅10メートルの振動にも耐えられるような対策や、東海・東南海・南海の3連動地震を想定した22メートル高の防波壁を1.6kmの長さで建設している工事現場を見学し、圧倒されました。また、過去に起きた事故の遺骸を展示した「失敗を学ぶ回廊」では、設計ミスで亀裂の入った蒸気タービンの羽根、水素発生で破裂した水管など、貴重な失敗の歴史を見ることが出来ました。
案内して下さった技師の方は「浜岡原子力発電所の地震・津波対策は、社会を支えている電力を絶対に供給し続けなければならないという使命から行っています。学生の皆さんは将来の日本を背負う人たちです。日本社会は今以上にエネルギーや電力などに関わる重大な判断をする機会に今後直面するかも知れません。その時の判断に少しで役立つように、しっかり現場を見て考えて欲しいです。皆さんに将来を託したいです。」と説明されました。見学者は胸に熱いものを感じたようです。
なお、原子力発電所は9・11以来、テロ防止対策として見学には国際線搭乗以上の厳しいセキュリティチェックがあります。今回の見学は、世界や日本のエネルギー問題を深く考える機会になりました。

浜岡原子力館での記念撮影

変電所で実際に使われている送電用のケーブル見本を見る

浜岡原子力発電所の遠景。発電所内では撮影禁止のため、遠方から撮影した。残念ながら防波壁を確認できない。