環境情報と経済学部の学生によるエネルギー施設見学

 環境情報学部と経済学部の学生10名に、四日市大学エネルギー環境教育研究会のメンバー等総勢18名が、中部電力徳山水力建設所、日本原子力研究開発機構敦賀本部 原子炉廃止措置研究開発センター(ふげん)、そして根尾谷地震断層観察館を見学しました。
 
  揖斐川流域47万人を洪水被害から守るために水資源機構が建設した徳山ダムは平成20年に湛水しました。その翌年、中部電力が15万kWの出力をもつ水力発電所の建設を始めて現在70%と計画通り進んでいます。その建設現場を見せて頂きました。直径6メートルの水管をダムの正面右側の山の中をくり抜いた場所で繋ぎ合わせている工事です。日頃何気なくスイッチを入れて簡単に使っている電気は、電力会社の供給責任のもと、巨大な設備あって初めて利用可能になると実感しました。
 
  ‘ふげん’は昭和50年から平成14年まで16.7万kWの出力で発電してきた新型転換炉という特別の原子力発電所でした。プルトニウムの核分裂を主に利用して、核拡散防止の一翼を担う技術開発の先頭を走ったプロジェクトで、米国原子力学会からも表彰された実績を持っています。ここで開発された技術が高速増殖炉の開発の基礎となったのですが、現在は‘廃炉’技術開発の最先端を担っています。原子炉を廃止すると重量にしてその約3%は残留放射能が強いので管理しなければなりませんが、残りは安全でリサイクル利用が可能な資源だそうです。原子炉を解体するのはリモートコントロールを行い、人間が被ばくしないように工夫されています。ここでの廃炉技術は東京電力福島第一原子力発電所での廃炉にも適用されるなど、今後世界中で行われるようになる原子力発電所の廃止工事に使われることでしょう。工事現場では、残留放射能を最低限に抑える工夫を沢山説明して頂きました。
 
  明治24年(1891年)10月28日早朝、東海地方をマグニチュード8の濃尾地震が襲いました。阪神淡路大震災ですら断層の高さは1.2メートルでしたが、ここ根尾谷断層では6メートルでした。断層は今も農地を横断しており、その最大高さを示す場所が地震断層観察館として保存されています。水平ずれは最大で9.2メートルありました。当時、断層は地震の原因なのか地震の結果生じたものかという大激論があったそうです。ここではその後断層がずれておらず安定していると聞いて、皆安心しました。
 
  地震断層、原子力発電所とくに原子炉の廃炉、そして水力発電所建設と、この順番で考えると現代のエネルギー問題を象徴する見学先を選んでツアーを組んで下さった中部原子力懇談会三重支部殿には、感謝申し上げます。
 

根尾谷地震断層観察館にて


‘ふげん’菩薩を前にして
(原子炉廃止措置研究開発センターにて)


徳山ダムを背景に

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