武本教授と粟屋元教授、モンゴル国ウランバートル市を訪問(その2)

午後、トルゴイトの第3ホローの事務所でアズジャルガル・ホロー長(昨夏の四日市へ訪日研修者)と会談した。彼は住民の自発的活動と行政対応の調整役で、市や区からの方針を理解させるために、住民11人で構成する環境委員会を作った。これはホロー(約1万人)とNGOとエコグループを支援するためである。法違反の住民や企業を罰則を含む行政権限を行使して指導できる。ソンギノハイルハン区は32のホローがあるので、今後環境活動を広めたいと語っていた。2014年度はICETTのプログラムをまとめたいとのことであった。

アズジャルガル・ホロー長との会談


 
そして夕方に駅の近くの自然保護協会(MACNE、1975年設立)の事務所で、バダムハンド会長(はじめての女性会長、2008年より)と懇談した。ICETTの進める環境リーダーを育成する方針に共感していただいた。彼女は1990年から独立のNGOとして活動してきた。1992年にモンゴル馬のタヒをオランダより返還してもらい、ウランバートルの東部100Kmのホスタヤ地区で事業化した。自然保護協会の大会は全国から200名の代議員が参加し、5年ごとに会長を選挙して決めている。2012年の民主党政権で環境省が自然環境・グリーン開発省になり、引き続き協力している。現在はウランバートル市の東部80Kmのツブ県に4000haの自然保護区をつくり、ここを管理運営の予定である。2011年以降、ソ区第3ホローの活動も支援し、2013年のエコGができたのも支援中である。住民啓発と毎月の新聞を発行中である。意識啓発は重要で、ウランバートル市の9つの区で環境リーダーを1人ずつ育成するつもりであるとの話しを伺った。

バダムハンド会長との懇談


 
2/27(木)は、午前中にチンゲルティ区の117番学校のある第19ホロー事務所へ出かけ、地区コーディネイター(副ホロー長)のエンフボルド氏と会談した。ホローのソーシアルワーカーの女性も同席していただいた。19個のホローがあり、最後に出来たホローであるとのこと。一番北なので、グリーンホローと呼ばれている。新型ストーブは政府の命令でかなり普及した。しかし、政策で安く買えるので、高く転売したり、あるいはまだ古タイヤを燃やす家庭もある。ゲル地区のアパート化やあるいは石炭を止め電気ストーブへの動きもある。
 
高齢者が多い地域で、自発的に10名がエコGを2014年2月につくった。緑の帽子に緑のTシャツで制服も作った。ヘセグ長の50名もあわせて、行政として支援する。117番学校のソーシアルワーカーとも連携する。ソ区トルゴイトのエコGは知らないとのこと。

2013年の5月~10月に、労働省の支援で1ヶ月19万Tg/人(約1万2千円)で貧しい人々を15名雇って、エコパトロールを実施した。北には夏の別荘地帯があり、この別荘のゴミや不法投棄されたゴミを回収した。また、ゴミ分別も始め、国より無料で27万枚のゴミ袋をチ区で配布した。いままでバラバラだったゴミ回収日を今年から決められた曜日に変更した。それで不法投棄は減少した。このような話を聞いた。

エンフボルド氏との会談


 
午後は、117番学校のナンサルマー先生と話をした。学校バスが出来たおかげで、学校のエコ活動で子供たちと北の別荘地帯のゴミ置き場のパトロールもできた。B区53番と117番学校はマンズッシル寺へエコ旅行へ出かけ、周囲のゴミ清掃を行った。C区は12の学校があるので、学校ごとにエコGが出来るといいが、広めたい。ここに住む友人の生物学者のオトゴンビルグ氏は、自宅のゲルに1000本以上の木を植えており、果物もとれる。緑化の宣伝もできるとのことであった。

117番学校にて


117番学校のナンサルマー先生との会談


117番学校から東をみる。まだ、そこかしこでゲル排煙。


 
午後にもう一箇所、バヤンズルフ区の53番学校を訪問し、バイガルマー先生と学校ソーシアルワーカーと会談した。53番校には北の19ホローと24ホローから生徒が来ており、市街地のアパートのある16ホローの子もいる。53番校のエコ活動は予定通り進行している。北のゲル地区は貧しい家庭が多く、石炭や薪を買えず、古タイヤや燃えるものなんでも燃やしているとのことだった

53番学校の正門で低学年下校時


バイガルマー先生と学校ソーシアルワーカー


市内のスモッグ風景とガソリンスタンド。1700Tg/L(約100円/L)でやや高い。


 
夕方、PHI公衆衛生研のボロルマ博士と会談した。武本教授らの健康アンケート結果報告のモンゴル語訳を手渡し説明した。保健省のボルマー博士にもコピーを送るとのことであった。貧困層に対しては、ホローで登録し、生活保護で月10万Tg/人(約6000円/人)もらえる。また、子供手当てもあり、月2万Tg/人(約1200円/人)もらえる。また、貧困者には2箇所ほどの特別の病院もある。古タイヤの危険性は、むしろ外国人に言ってもらうのが効果的だ。だから住民の意識啓発は大切である。ソ区の西の部分の貧困地は、外国や国内のNGOも入って活動中とのことであった。

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