平成26年4月25日(金)に第3回目の環境特殊講義が行われ、佐藤一雄講師が「公害裁判審理中のコンビナート建設」と題して、技術者の視点からの四日市コンビナートに関わる環境問題の話をされました。佐藤氏は新大協和石油化学(株)(現・東ソー)の技術者で、第3コンビナートの建設や、その後の公害防止技術の開発に携わってこられました。現在は環境省の環境コンサルタントを務めていらっしゃいます。
最初に第1・2コンビナートが公害を引き起こし、裁判が起され、地域が反対・心配する中で、エチレン需要から第3コンビナートが計画された経緯についての説明がありました。その際、過去の経験から、出島方式、緩衝帯の設置(霞の緑地帯)、燃料と排煙の脱硫、排水の一括高次処理、ばい煙排出用の集合煙突などの公害対策が計画時から組み込まれ、また、環境管理するための組織や地域住民との協議会なども同時に設置されたという話がありました。
公害裁判結審後には、患者を救済するための四日市公害対策協力財団が企業18社の出資で設立され、その原資には、硫黄酸化物を排出する企業が排出量に応じて支払う汚染負荷量賦課金が充てられ、それが副次的に企業の技術開発を促し、硫黄酸化物の排出量を激減させ、四日市が青空を取り戻す役割を果たしたとの説明もありました。
佐藤氏から学生へ「未来に向けて」というメッセージもあり、学生たちは真剣に耳を傾けていました。
聴講した一般の方々からは「大変濃密な講義だった。計画中の公害と環境未来館には、様々な立場からの当時の証言を集めるべきだ。」「私自身もコンビナート企業のOBで、当時の公害対策の大変な労力を再認識した。」「レベルが高い講義で、コンビナート企業が一体となって環境対策を行った事例が体系的にまとめられていた。」「学生が居眠りもせずに受講しており感心した。」という声が聞かれました。

講演中の佐藤講師

講義室の様子