平成26年6月6日(金)に第9回目の環境特殊講義が行われ、三重県林業研究所の主任研究員である福本浩士様に「ニホンジカによる農業被害とその対策方法」という講義を担当していただきました。前週の野々田主幹研究員による間伐の効果に関する講義に引き続いた森林環境の話題で、受講者は知識をさらに深めることができました。
講義の内容は、ニホンジカの特徴、個体数の増加状況、三重県内での分布状況、被害状況などの話題から始まり、シカの侵入を囲いで排除した場合としない場合の植林地域の植生変化をデータや写真で見せていただきました。その歴然とした差に、聴講者は驚いていました。
また、獣害対策の3本柱は「生息数の管理(個体密度を許容レベルまで下げる)」「生息地の管理(伐採跡地や耕作放棄地を整備)」「被害の管理(柵や他の方法で被害を軽減)」であるとの説明があり、その具体的な方法を写真や図で紹介していただきました。
学生へのレポート課題は「増加するニホンジカへの対策となる斬新なアイデアを提案しなさい」という内容でした。学生たちは頭をひねりながら取り組み、「猟銃の規制を緩和して若手の雇用機会を増やす」「鹿肉の臭いを消すために、チーズと組み合わせた調理法を工夫する」「三重県全体で鹿肉の利用する取り組みを行う」「ソーラーパネルを電力源として、高圧電線で植林地帯を守る」「天敵となるオオカミを鈴鹿山系に放つ」「避妊薬を使用する」「メスを捕えて避妊する」「シカの天敵である熊やオオカミの臭い分析して、それを植林地帯に散布する」などユニークな回答を行っていました。
一般聴講者からは、「シカによる被害が大きなものであることを再認識した」「人間と自然動物の共存を図る必要があり、地域で取り組む必要があることがわかった」などのコメントが寄せられました。
福本様、大変分かり易く興味深い講義を行っていただき、ありがとうございました。

講義を行う福本様

講義室の様子