平成27年6月19日(金)に環境特殊講義の第11回目を実施しました。講義タイトルは「里山の自然と環境保全活動」で、四日市大学自然環境教育研究会の保黒時男代表が講師を務められました。
講義では最初に菰野町の切畑区をモデルとして挙げて、里山の構造や要素についての説明があり、その後、裸地⇒アカマツ林⇒コナラ・アベマキ林⇒シイ・アラカシ等の極相林へと向かう森の時間的な遷移を説明し、里山とは概ねコナラ・アベマキ林の状態を人為的に保持しているものだとの林学的な定義も行われました。
温暖化の進行による里山の危機については、等温線の北上速度が植物のそれを遥かに上回っており、北上により植物が気温上昇に適応することは困難であるとの説明もありました。
その後、講師らが進める大安町の里山のシデコブシの保全活動についての紹介があり、講師らの活動により、絶滅寸前のシデコブシの株数の減少に歯止めがかかり、スギの高木や藪の除去(光環境や湿地環境の変化)等の環境改善により、最近は開花も盛んになり、今後は実生による繁殖も期待できるとの報告もありました。
最後に、里山の保全の大切さと意義の説明と、自然観察会等のふれあい活動やグリーンツーリズムなどによる地域活性化の取組みへの提案なども行われました。里山地域の住人は必死に里山の自然や文化資源を守り、後継世代に繋ごうとしているが、高齢化や人口減少でそれが難しくなってきており、都会に住む人たちとの広域連携が重要であるとの説明もありました。
学生のレポートからは、里山とは何かや、里山の価値を全く知らなかったという意見が半数近くを占め、身近に里山がある本学の学生でも、そのような状況にあることがわかりました。里山の観察会や自然保護の取組みがあれば参加したいという声も聞かれ、保黒講師の熱意は学生たちに届いたようです。
保黒様、有益な講義、大変ありがとうございました。