環境情報学部の教員学生21名がエネルギー施設を見学

平成28年2月2日と3日に環境情報学部の武本教授、城之内教授、高橋元教授、廣住講師とゼミ生17名の総勢21名が中部原子力懇談会三重支部のご協力により、関西地方のエネルギー施設を見学しました。
 
初日には姫路北部の佐用町にある理化学研究所の放射光科学総合研究センター SACLA/SPring-8の実験施設を見学しました。Spring-8はシンクロトロン方式により電子を世界最高レベルの8ギガ電子ボルトまで加速可能で、その放射光(X 線等)により、化学反応のしくみの解明、分子レベルの構造解析、結晶解析、新薬開発、電池の新技術開発、電子機器の高密度化などに利用されています。案内の方に詳しく説明いただいた後、シンクロトロンの円形装置内に入り、見学させていただきました。
 
隣接するSACLA(さくら)はX 線自由電子レーザー施設で、発生できるX 線はSPring-8よりも強く、太陽光の10億倍の更に10億倍で、原子や分子の瞬間的な動きを観察できるとのことでした。日本独自の素材・加工技術を用いてコンパクト化し、建造費は400億円、SACLA/SPring-8を合わせた電気代は年間約40億円とのことでした。ちなみに、SACLAの使用量は2時間で100万円だそうです。これらの装置から得られるデータは膨大で、利用者は神戸市の理研のスパコン京で解析しているとのことでした。
 
翌日は午前中に大栄環境グループの(株)DINS堺のRAC事業所を訪問しました。ここでは、木質建設廃材を発酵濃縮し、濃度99.5%のバイオエタノールを1日70リットル作っています。その先駆的な工場を見学させて頂きました。ガソリンに3%のバイオエタノールを混ぜた自動車燃料E3として販売したいが、日本では流通の問題などで普及が難しく、現在はアルコール事業者(みそや醤油・化粧品など)が主要な取引先になっているとのことでした。バイオエタノールというと、トウモロコシやサトウキビを連想しますが、日本ではこれらは大量に採れません。建設廃材の有効利用というニッチな分野を狙ったところがユニークですが、経済性はあまり良くないそうです。今後、建設廃材以外に、廃棄物原料の種類を拡大していきたいとのことでした。また、燃料電池車の水素はこのエタノールから取るのが安あがりとも伺いました。
 
日本の先駆的なエネルギー施設を目の当たりにし、学生たちには大変良い勉強の機会となりました。この見学会の実施にご協力いただいた関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
 

SACLA/SPring-8の設備の説明


SACLAの入り口での記念撮影


DINS堺RAC事業所のエタノールを段階的に濃縮している4本の反応塔


DINS堺RAC事業所の工場の木材搬入口での記念撮影


 

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