環境情報学部の教員有志(武本行正、粟屋かよ子、千葉賢)は平成22年に四日市大学大気汚染調査研究会(代表:武本行正)を結成し、四日市市周辺大気のNO2一斉調査を始めました。
四日市はぜん息で全国的に名前を知られるようになりましたが、この原因はコンビナートの工場群から排出された亜硫酸ガスでした。昭和後期に高煙突化や脱硫装置などの対策がとられ、現在は大気中の亜硫酸ガス濃度は極めて減少し、新たな患者は発生していません。
しかし近年全国的に浮上してきたのは、二酸化窒素(NO2)による新たなぜん息問題です。二酸化窒素は自動車、特に大型車から排出されます。二酸化窒素とぜん息の因果関係については未だ明確なことはわかっていませんが、都市域で環境基準を超える状況が発生しているため、市民団体等が中心になり各地で濃度調査が行われています。
四日市周辺も国道23号線や高速道路などの幹線の交通量が多く、市や県により定点調査が実施されていますが、環境基準を超えている地点もあります。これらの地点も含めて、四日市全体のNO2の濃度空間分布を明らかにすることには意味があります。
四日市周辺のNO2調査は、平成21年に環境情報学部の中野渡君(学生)が中心となり市民に声をかけ、環境情報学部の教員が支援する形で始まりました。平成22年に研究会を結成してからは、地域の高校と市民団体にも呼びかけて調査を行っています。調査方法は極めて簡単で、市民が参加し易いものです。
これまでの調査で四日市全体の濃度分布や高濃度地域などが判明してきました。やはり大型車が走る幹線道路や、坂道周辺で濃度が高いようです。また、平成23年夏に学生が中心となり部分的な調査を行いましたが、予想以上に濃度が高いこともわかりました。
そのため、今後もしばらく調査を継続し、私たちが暮らす四日市周辺のNO2分布を明らかにしてゆく計画です。この調査は科学的な価値があるだけでなく、市民の環境意識の高揚にも役立っています。
以下に分析時の写真、観測用カプセル、観測結果を示します。なお、ご興味のある方は、本調査のために開発したWebアプリ(Chrome19.0、IE9で動作確認済み)をご使用ください。詳しいデータをご覧になれます。このソフトは平成24年5月に実施予定の大阪の一斉調査(観測点は約1万点)にも利用されることになっています。ソフトの使い方は、ソフト画面右上の「使い方」ボタンを押してご確認ください。マーカー描画、メッシュ塗り、図の拡大縮小などが可能です。
2010・2011年調査概要
調査組織:四日市大学環境情報学部
調査日:12/7(2010)、12/1(2011)
調査地点数:615(2010)、375(2011)
後援:NPO環境市民大学よっかいち
協力:よっかだいエコ活動
参加団体
三重県立四日市商業高校
三重県立四日市中央工業高校
三重県立四日市農芸高校
四日市ウミガメ保存会
磯津環境学校