(動画1、動画2)
伊勢湾海洋調査実習は三重大学生物資源学部の練習船「勢水丸」を利用して実施されています。平成21年度に開始し、今年で4年目を迎えました。実習は海洋調査の基礎を学生に学ばせるとともに、水質・底質・生物相などの観察を通じて身近な海である伊勢湾の環境状態を肌で感じさせることに主眼を置いています。また、船上で規律ある共同生活と作業を体験することで、学生の社会性を向上させることも狙っています。
環境情報学部の学生は2泊3日の航海実習に加えて、2回の事前学習と3回の分析実験(各90分授業)、及び報告書提出をすることで2単位を取得できます。このような大規模なフィールドワークを含む授業は他にないため、学生からは人気を集めています。平成23年度は7月後半の前期試験直前に実習を行いましたが、22名(男18名、女4名)が参加しました。これを2名の教員が引率指導し、さらに1名の支援スタッフ(学部卒業生で岐阜大学大学院在学中)が加わりました。
調査は図に示す湾長軸方向の観測線(L1、L2、L3、C、L4)と横断方向の観測線(T1、T2、C)で行い、CTD装置(水温・塩分・水深・植物プランクトン量等を測る装置)による水質調査、採水調査、採泥調査、プランクトンネットによる調査、けた網(底引き網)によるベントス調査、ADCP装置(超音波式流速計)による流動調査などを実施しました。
3ヵ年の調査(6月と7月)では、いずれも伊勢湾の貧酸素水塊が観測されました。貧酸素水塊の分布と底質の関係、ベントスの種類数・個体数に着目していますが、名古屋港沖(L1)から湾央(C)あたりまでが貧酸素水塊に覆われることが多く、その海底で汚泥化も進んでいることを確認できました。ベントスの種類と個体数も貧酸素水塊の分布に相関することがわかりました。
調査以外の学生の生活としては、写真に示すような早朝のラジオ体操、食事の配膳、食器の洗浄、トイレや風呂の掃除などの仕事の他に、夜の勉強会(約1時間)、夜の懇親会などがあります。大変忙しく、船酔いもあり、あまり慣れていない規則正しい生活を強いられますが、本実習に対する事後の学生の評価は大変高いものとなっています。船長や航海士の皆様からは厳しく温かいご指導をいつもいただいています。船内の食事の評判も良いです。
平成24年度は初めて伊勢湾外に出て調査をする計画になっています。