特定外来生物「アレチウリ」から生態系を守る活動(保黒時男)

近年、河川敷や空き地などでこのような(写真1)植物が多く見られるようになりました。これはアレチウリ(うり科)という北米原産の外来植物種で、環境省の「特定外来生物による生態等に関わる被害の防止に関わる法律」により平成19年に「特定外来生物」に適用されています。また、その場所の生物を死滅させ本来の環境を脅かすため“侵略的外来種”とも呼ばれます。
 
アレチウリの特徴は次の通りです。
(1)成長が速く、短期間で多くの種子ができる。
(2)1株に数百個から数千個の種子ができ、繁殖が旺盛である。
(3)種子は、遅延発芽や休眠発芽のため一斉駆除が難しい。
(4)蔓で延びるため他の植物に巻きつき、覆いかぶさるため、被陰によりそれらの成長を阻害するなど植物の多様性や生態系に悪影響を及ぼす。
(5)畑などの耕作地にも侵入し、作物に被害を与える。
 
このように、生態系や人の生活に影響を与える厄介ものであるため、法律では、「持ち込まない」、「捨てない」、「広げない」、の3原則があります。
 
日本の大部分に移入分布し、四日市市内でも猛烈な勢いで増えつつありますが、一般的に知られていないために野放し状態です。特に四日市市内の各流域に侵入し、中でも市内の南部を流れる内部川では著しく繁茂しています。
 
このため、四日市大学自然環境教育研究会は、平成18年より内部地区社会福祉協議会及び連合自治会と連携し、生物多様性の保全に向けた技術指導を行いながら、駆除活動(写真2・3)を実施しています。具体的には、発芽時期の7月初旬に地域住民300~400名の参加を得ての引き抜き作業を行っています。すでにこの活動は5年目に入り、ようやくアレチウリの減少とクサソテツ・コウヤワラビなど希少植物の繁殖などの成果が出ています。
 
さて、このアレチウリが四日市大学近くの空き地にも侵入し、繁茂を始めたことをご存知でしょうか。今後、大学へも勿論のこと広域的に拡大し、地域の豊かな自然や人の生活に影響を及ぼすことが懸念されます。
 

写真1


 

写真2


 

写真3


 
追記(千葉):大学近くのアレチウリを撮影してきました。山城道路の大学入口交差点から入ってすぐの左側に繁茂していました。クズ(葛)と土地を分け合うように生えています。現在、開花中で多数のスズメバチが吸蜜に来ていました。大学敷地内も調べましたが、アレチウリは見つからず、全てクズでした。雨水調整池に大繁茂しているのもクズでした。クズも困りものですが、アレチウリはスズメバチを呼ぶ効果もあるようなので、特に気をつけるべきかと思います。
 

山城道路の大学入口から入ってすぐの道路左側。手前がクズで奥がアレチウリ。


 

これがアレチウリ。葉が5角形なのが特徴。今は緑色の花が葉の上に立ち上がって咲いているので見分けやすい。


 

これがクズ。クズはひとつの茎から3枚のハート型の葉が出ている。花は写真のように紫色で、花に関してはアレチウリよりひかえ目だ。

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