2022年8月15日(月)に名古屋市の藤前干潟とその付近の水田や農業用水路を見学し、徐放性肥料プラスチック(以降では樹脂被覆)による汚染状況を確認してきました。その水田では約20年間に亘り徐放性肥料(緩効性肥料、一発肥料)が使用され続けており、2019年の我々の調査では、水田土壌内から大量の樹脂被覆が確認されています。今回は、稲の穂が出る少し前の時期でしたが、水田の南東側におびただしい数の樹脂被覆が浮いて漂っていました(写真)。大雨が来て、水田の排水口を開けると、これらの樹脂被覆が農業用水路に流出し、それが河川を通じて海に流れ込むと考えられます。
この水田の下流にあたる藤前干潟では、防波堤付近に大量の樹脂被覆が漂着していました(写真)。昨年度の10月には名古屋市環境局が調査を行い、樹脂被覆がマイクロプラスチックの個数割合で約7割を占めることを明らかにしました。徐放性肥料は、日本の稲作農業を支えるものですが、その樹脂被覆による環境汚染は深刻なものと考えられます。
藤前干潟の様子ですが、8月12日に大潮を迎え、当日は大潮をやや過ぎていましたが、お昼過ぎに最干潮となり、20年前にラムサール条約に登録された干潟を見ることが出来ました。干潟には多数の海鳥やサギなどが集まり、海の豊かさを実感できました。ご案内いただいた「藤前干潟クリーン大作戦」実行委員長の坂野一博様に感謝申し上げます。