四日市大学環境情報学部の廣住講師の研究室では、土壌の持つ性質や土壌中に含まれる栄養素・化学物質を化学分析によって測定しています。今回は土壌中の窒素量を測定する「水蒸気蒸留法」を紹介します。窒素は植物の三大栄養素のひとつです。土壌中に含まれる窒素量を調べることで、その土地の栄養状態がわかります。
「水蒸気蒸留法」は土壌や食品に含まれる窒素を測定するための分析法です。土壌中の窒素は硝酸やアンモニアなどのいくつかの異なる形で土のなかに含まれています。水蒸気蒸留法では、硝酸態窒素・アンモニア態窒素を測定することができます。写真で使用している水蒸気蒸留法の分析装置はパルナス・ワグナー型の装置で、装置を解体しなくても管内の洗浄と廃液の排出ができるタイプのものです。
土壌中の窒素の測定法には、そのほかにもインドフェノールブルー法、サリチル硫酸法、紫外線吸光法などがあります。最近では窒素の測定にはイオンクロマトグラフィやイオンセンサなどが使われることが多いですが、水蒸気蒸留法は代表的な窒素測定法で、装置を自分で組み立てられること、測定原理を自分の目でみて理解できることから、分析方法の学習には最適です。