四日市大学環境情報学部の廣住講師の研究室では、土壌の持つ性質や土壌中に含まれる栄養素・化学物質を化学分析によって測定しています。今回は土壌の保肥性(肥料もち)をあらわす「陽イオン交換容量」の測定法を紹介します。
土壌の表面は電気を帯びていて、ここに水に溶けたイオンをくっつけることができます。プラスの電気をもつ部分(陽荷電)にはマイナスのイオン(陰イオン)が、マイナスの電荷をもつ部分(陰荷電)にはプラスのイオン(陽イオン)が、それぞれくっつきます。肥料や化学物質が水に溶けると、陽イオンと陰イオンに分かれます。土壌はこれらのイオンを表面にくっつけることで、肥料や化学物質を保持することができます。
陽イオン交換容量は土壌がくっつけることができる陽イオンの量(負荷電の量)を表します。植物に必要な栄養素は、土壌中では水に溶けたイオンの状態で存在しています。たとえば、カリウムはK+イオンの状態で、窒素はNH4+(や、NO3–、NO2–)の状態で存在しています。つまり、陽イオン交換容量の値が高いほど、肥料もちが良い土壌ということになります。なお、陰イオンを保持できる量をあらわす「陰イオン交換容量」という指標もありますが、陰イオン交換容量は土壌 pH によって変化してしまうため、一般的にはあまり測定されていません。
写真では「ショーレンベルガー法」・「ホルモル滴定法」を使って陽イオン交換容量を測定しています。この測定法は陽イオン交換容量を測定する標準的な方法です。