エコ活部が奈佐の浜のアマモを収穫(千葉)

アマモ場は海のゆりかごと呼ばれ、海洋生物の繁殖と生息の場として重要です。伊勢湾の沿岸部にも、かつては11km2を超える広大なアマモ場が存在していましたが、埋立や漁業活動等で失われ、今は1km2以下に激減しています(参考:国土交通省中部地方整備局・伊勢湾環境データベース、環境省自然環境保全基礎調査)。大正時代の伊勢湾のアマモ場の地図を以下に示します。

答志島の奈佐の浜は海洋ごみが集中的に漂着することで有名になってしまいましたが、かつては島民の憩いの場所で、海水浴に来ると、アマモが絡んで泳ぎにくいほど一面にアマモが生えていたそうです。その後、奈佐の浜のアマモ場も縮小しましたが、鳥羽磯部漁業組合の小浦嘉門様やモリエコロジー(株)の森鐘一様らが中心となり、アマモ場の再生に取り組んで来られました。

再生活動の方法は、6月の大潮の干潮時にアマモの一部を収穫し、袋に詰めて海中に放置して腐らせ、8月末頃に腐ったアマモから種を取り出し、それを冷蔵庫に保管し、12月頃に植物性のシートに撒いて、シートごと奈佐の浜の海底に設置します。

現在では、奈佐の浜の東側の海岸沿いにアマモ場が広がり、再生活動の効果が出ています。アマモ場の周りでは産卵にやってくるアオリイカ等を狙った漁業も行われているほどです。

今回は、再生活動のお手伝いとして、四日市大学エコ活動部の5名がアマモの収穫を行いました。雨の予報もありましたが、収穫中は日差しもあり、風もなく、ホトトギスが鳴き声が響き渡る気持ちの良い環境の中で、約2時間、腰まで水に浸かりながら作業を行いました。

学生達は、アマモの中で魚や小動物を見つけて捕まえたりなど、楽しみながら収穫作業に取り組みました。作業後には、漁業組合の施設の中で、お茶を御馳走になりながら昼食を取りました。小浦嘉門様、鳥羽磯部漁業組合桃取町支所の皆様、大変お世話になりました。夢のある作業に関わらせていただき、学生たちの勉強になりました。

この活動は、モリエコロジー(株)様の支援を受けて実施しました。ありがとうございました。

大正時代の伊勢湾のアマモ場、出典:「浅海利用調査報告第2報、伊勢三河湾図書、農商務省水産局編、農商務省水産局、大正6-7」
のアマモ場を緑色に着色、答志島の奈佐の浜の位置に赤丸を追加
奈佐の浜の漂着ごみの状況。防波堤の壁際にあるのはノリ網。コロナの影響で昨年から清掃活動が全く行われていないので、流木やプラスチックごみなどが溜まっていたが、例年に比べると、やや減っている印象を受けた。
小浦様(中央)から、作業の進め方について説明を受けている学生たち
海に入り、アマモの収穫を行う学生たち
干潮時にはアマモの先端が水面から飛び出して、見えるようになった。
深緑に見える部分がアマモやコアマモだ。
アマモの種、アマモはイネ科の種子植物
学生達の足元の海底にはレジ袋やプラスチックごみが沈んでいた。残念な光景だ。アマモ場に集まる海洋生物たちも、これらのプラスチックごみの影響を受けているだろう。
2箇所に分かれて作業を行う学生たち。アマモ場は海岸線に沿って繋がり、写真奥の半島の先端付近まで広がっている。
アマモをひと篭分を収穫して、袋に詰めているところ
アマモの袋詰め作業を終え、皆で記念撮影
アマモを詰めた袋を桃取港の筏に設置しているところ

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